Sunday, August 19, 2012

鞣しについて


前回に引き続き、「牛革」についてご紹介させて頂きます。
これまでに革の種類についてのご紹介はさせて頂きましたが、今回は「鞣し」についてご紹介させて頂きます。


革の鞣し方には大きく分けて2種類ございます。
タンニン鞣しとクロム鞣しです。


◎タンニン鞣し
・古くから使用されてきた伝統的な鞣しの手法
・植物性のタンニン(渋などの成分)を用いて鞣し・着色される

・革本来の独特の風合い
・使用するにつれて経年変化が楽しめる
・革にコシがあり丈夫

・天然成分使用の為、完成までに時間がかかる
・水などを吸収しやすい為シミが出来やすい


◎クロム鞣し
・近年の製品の工業化に伴い、考案された手法
・三価クロムを用いて鞣し・着色される

・雨などによる影響を受けにくく、シミなども出来にくい
・鞣しにかかる時間がかなり短縮される為、短時間での鞣しが可能
・伸縮性があり、柔らかい
・経年変化が現れにくい為、新品に近い状態を長くキープできる

・可燃物として焼却処理をする際、六価クロム(猛毒)を排出する



クロム鞣しの後、タンニン鞣しを行う(※逆の場合も有る)とうい手法があり、クロム鞣しの伸縮性と耐久性を持ちながらタンニン鞣しの独特の風合いを持つという、双方の利点をどちらも活かしたハイブリッドな革も存在します。

近年では100%タンニン鞣しの革はほとんど生産されていない為、
先にクロム鞣しを行った後、タンニン鞣しを行い生産された革が「タンニン鞣しの革」とされる事が多いようです。


タンニン鞣しの革とクロム鞣しの革では、革に入っている油分・染料の量が異なります。
革の断面をご覧頂けると、お分かり頂けると思います。


◉すべてが同じ色に染まっているモノはタンニン鞣しの革


・初めは鞣しに使用される薬品の濃度を薄くし、しっかりと中にまで浸透させます。
・最後に近ずくにつれてその濃度を上げて行き、表面にはしっかりとタンニンの成分が吸着されるように仕上げます。
・軽い擦り傷などがついた際は若干色が薄くなるものの、指の腹などで強く押すようにこすると目立たなくなります。これは強くこする事で中に染み込んだタンニンの成分が外に染み出て、また色が濃くなり傷が目立たなくなっています。
・完成までには30~40もの工程を要し、薬品の濃度を調整するなど非常に手間がかかる為、現在では貴重品とされています。


◉真ん中の辺りが白くなっているモノはクロム鞣しの革


・白く見える部分は厳密には「薄い青色」であり、これは三価クロムで革を鞣す際、原皮は一度すべてこの色になります。
クロム鞣しでは染色にかける時間が短い為、中心までは染まっておらず表面から約0.2mm程度のみ着色されていません。
・擦り傷などが付くと、表面がめくれた内部が青白く目立ってしまう。
・技術の進歩により飛躍的に生産スピードを上げる事ができた為、現在は市場の80~90%の革がこのクロム鞣しです。



現在では、クロム鞣しを焼却処理する際の六価クロムによる環境汚染が問題視されており、タンニン鞣しに再び注目が集まっています。
また、若干高価ではありますが、ホルムアルデヒドを用いた「アルデヒド鞣し」も少しずつ普及してきています。




maestro
www.maestro-jp.com